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災害想定区域の指定(ハザードマップ)には善後策が必要。設計士さんに共感した件。

今日9月1日は防災の日。「浸水想定区域の建築規制を」・・・ある設計士さんの新聞投稿に共感。

8月31日付日経新聞の経済教室・私見/卓見のコラムに目が留まりました。著者は設計事務所経営者です。昨今の異常気象と防災意識の高まりを受けて「水防法」で洪水浸水想定区域に指定された殆どの市町村ではハザードマップを公表するようになりました。「建築設計を生業とする」著者は、このハザードマップを参考に1階の床レベル(高さ)を設定しているとのこと。ところが、水害に備えて1階の床のレベルを高くすると、その分建物自体の高さが増し、建築基準法の「高さ制限」に抵触してしまい、対策として天井高や床面積を抑えざるを得ず、居住性や経済性が大きく損なわれるといいます。

そこで洪水浸水想区域における高さ制限を想定浸水高の分だけ緩和して高床対応を促してみてはどうかと至極合理的な提案をした上で、(政策に拠り)国土強靭化を目指す今、ちょっとしたルールの変更が大きな効果を生むだろうと経済効果にまで言及します。そして締め括りの「ルール変更自体はコストがかからないし、自然は常に動いているのだから、都市や制度も柔軟に変化に対応していかなければならない」というの結びが痛く当方の胸に突き刺さったのです。

「不動産取引を生業にとする」拙者は、・・・というわけでもありませんが、浸水想定区域など災害のエリア指定と深い関りを持ちます。最近では、異常気象と防災意識の高まりから、不動産売買の際に殆どの買い手がハザードマップを認識する程になりました。先んじて、不動産業の規制法である「宅地建物取引業法」においても、売買契約前に実施が義務付けられる重要事項説明で、ハザードマップを含む防災関連事項の説明が必須項目となっています。いつ何時災害に見舞われるか分からない時代ですので、貴重な財産を保有する上で、この動きは大変結構なことだと思います。

しかし裏を返せば、災害エリアに指定された地域は、消費者に敬遠される傾向があり(つまり、値崩れや不買を誘引し)、特に地方では、ただでさえ人口減少等により衰退しているところへ深刻な追い打ちをかけかねません。

災害エリアに指定されてもなお余りある魅力を持つ多くの地域が存在し、また、生まれ育った当該エリアへのUターンを希望する方もいるはずです。つまり、不動産を求める際の立地基準は「災害」のみを以って計れないのです。

これらを踏まえると、前掲コラムの設計士さんの「災害」に対する柔軟な発想と提案は大変有意義に思われ、当方の共感を誘ったわけです。

更に、当方の私見(卓見ではないですが)を言えば、災害指定エリアに対しては、もっときめ細やかな施策(例えば、指定エリアごとに「小規模避難所」を指定したり、非常用電源(発電機の支給)、水や生活物資の保管庫を備える、真に現実的な防災・減災の啓蒙・教育活動・訓練の実施、指定に伴う固定資産税の減免措置など)で、公が(皆が)指定エリアに手を差し伸べて、地域コミュニティを守っていく必要があるのではないかと思うのです。

 

 

 

更新日時 : 2022年09月01日 | この記事へのリンク : 

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