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これこそ不動産業者の仕事っ!・・・と思った瞬間 ”conductor”

長年のお客様が、相続にあたり土地売却を決断、手続きを弊社にご依頼くださりました。売却は公正証書遺言で相続が確定している土地とのことでした。親御様は生前、何事もきちんとされておりましたが、相続のことも然り、改めて感服致した次第です(遺言がない場合は、相続財産を売却するために「遺産分割協議書」を作成することから始めます。これが大変な手間であるばかりか、ときとして売却の障壁となってしまうことがあります。)。

「直ぐにも売却が可能ですね!」。

ところが、遺言をよく読むと、そもそも遺言に誤りがあり、遺言の意図する遺産分割は理解できても、実際には困難であることが判明(複雑なので詳細は割愛します)しました。公正証書にもかかわらずこんなことがあるなんて・・・。司法書士もこの遺言では相続登記は不可とのこと。遺言の意図とおり遺産分割するには、財産評価上「贈与」が発生する可能性も。こうなると税理士さんにも協力してもらう必要があります。さらに、この土地売買には分筆(すなわち確定測量を要す)、農地転用届出が必要で、これらは土地家屋調査士に依頼しなければなりません。

 一方で、幸いにして買手はすぐに見つかり、のろのろしていると折角の好条件での契約を逃してしまいます。

さて、どのように売買を進めればよいか?司法書士などの各士業(専門家)に相談しながら思案しました。

士業の皆さんは各自の守備範囲を確実に遂行しようとします(プロですから当然のことです。)。このままだと、売買契約までに膨大な時間を費やしてしまう・・・。

そこで一念発起、弊社が音頭を取って、士業の皆さんに一堂に集まってもらい、いかにして短期間で合理的な相続登記及び土地売買手続きができるか知恵を絞ってもらうことにしました。

すると、やはり専門家のface to faceはすごい。意気に感じていただき、「湯水のごとく」といったらオーバーですが、どんどんよいアイディアが出ます。当方が、円滑な土地売却手続きのアウトライン(契約条項・スケジュール・売主・買主の事情、その他)を示し、これに応じ皆でアイディアを調整していくと、1時間も経たずに解決策を見出すことができたのです。

単によいアイディアが出ただけではなく、士業の皆さんにプロとしての「連帯感」が芽生え、お互いに業務がうまく進むよう配慮した結果で、これには当方も抑えがたい高揚を覚えました。

無事に土地売買契約に漕ぎ付け、売主・買主にも喜ばれました。どの契約締結(成功)もうれしいものですが、この時ほど「業者冥利に尽きる」と思ったことはありません。

今回感じたことが二つあります。

一つは、士業の方はそれこそ「先生」と呼ばれるように、その道のプロですが、今回のような複合的、協業的な仕事になると、知識や方法論の相乗効果が物凄いということ。

もう一つは、今回、当方が「土地売却」という目的のもとに(おこがましくも)「先生たち」を誘導できたことを例えれば、オーケストラの指揮者(conductor)の役割が果たせたのかなと・・・。楽器は弾けずとも演奏をまとめるためには不可欠・・・不動産分野の横断的な(浅くとも)幅広い知識を発揮し、売買当事者の事情等を汲んだ契約手続きに調整・折衝すること、これこそが不動産業者の仕事だ!と思った瞬間でした。

  

更新日時 : 2016年05月10日 | この記事へのリンク : 

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